2017 / 10
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 1990年からフランスで暮らし始めたのだが最初の2年間はパリの郊外の木々に囲まれた家で、庭は広かったが大きな木が敷地内に何本かあり、緑が心地よいものの半日陰でバラなどには不向きだった。
 ある日フランスの園芸雑誌でイギリスの白い花の庭の写真を見つけ、イギリスに行くことにした。まだユーロトンネルは出来ていなかったのでフェリーに車を乗せてイギリスに上陸、目指すはシシングハースト城である。フランスに来る90年まではいわゆるガーデニングブームは存在せず、イギリスの庭園も紹介されていなかったのでシシングハーストの名も知らなかった。フランスの園芸誌の小さな写真を頼りに訪れたのだから実際のホワイトガーデンに入ったときは驚いた。葉山の赤いひなげしの庭も悪くはないと思っていたけれど、シシングハーストは世界がまるで違う。世の中にはこういう天国のような世界があったのかと心から感動し、翌日も訪れどうしたらこんな庭が出来るのだろうと溜息が出てしまった。今のパリの郊外の家ではとても無理、日の当たる広いところがいいなあと思ったがフランスに庭を作りに来たわけではない。絵を描きにきたのだからと自らを説得するのだった。
 シシングハーストの庭は背の高い刈り込まれたイチイとレンガの塀で囲まれた部屋になっているがこの部屋の意味を後に自分で庭園を作り始めて初めて分かってきた。その意味というのは第一に囲まれた中でひとつの世界を完結することができ、周囲を区切り外の世界が見えないことで囲まれた中でのデザインは完成度も高くなる。次に庭園に入るとすぐに全体が見渡せるというのは損である。次は何があるかなという期待を持たすことが出来ない。だからイチイの刈り込みは目隠しでもあり、先が見えないからこそ次の部屋に入ったときの新鮮な驚きも大きい。例えて言うならばプッチーニのオペラの第二幕で幕が上がると華やかなパリのカフェの場面になり、それまでの火の気のない暗い貧しい部屋の場面の対比の見事さに思わず歓声を上げてしまうようなものである。カザンのホームページも実はシシングハーストの影響を受け、ページからページへの移動に心を砕いている。というのはたった今思いついたことだからこの文章もあまり真に受けないようにご用心。
 それはともかく次に思うのはイチイの濃いグリーンが背景にあることによって白い花はその白さが際立ち、逆光になる場所がとても少なくなる。さらに花は明るい方に向くので花はすべて中央の観る人に向かって微笑むということになるのです。牧草地の真ん中で庭園を作り、除草に明け暮れした経験から分かったのはイチイの仕切りやレンガの壁があることによって雑草の種が飛来してくるのをどれだけ防げるか!ということである。雑草がなく、美しい草花だけが育つというのは天上の国にはあるのかもしれない。

【】
>葉山の赤いひなげしの庭も悪くはないと思っていたけれど、 シシングハーストは世界がまるで違う。世の中にはこういう  天国のような世界があったのかと心から感動し、翌日も訪れ どうしたらこんな庭が出来るのだろうと溜息が出てしまった。

なんでもそうですがガーデニングも例外でなく、年数を重ね知識が増え、いろんな影響を受けると見方や見え方、好みまでが変わってしまうものなんですね。現在の日本のように新品種が続々と出てくる環境ですと、庭造りの方向性を定めるのに苦労します。

>シシングハーストの庭は背の高い刈り込まれたイチイとレン ガの塀で囲まれた部屋になっているが…その意味というの は第一に囲まれた中でひとつの世界を完結することができ、 周囲を区切り外の世界が見えないことで囲まれた中でのデ ザインは完成度も高くなる。

他と遮断されることでイチイとレンガの色以外の他の花や葉っぱの色が視界に入らなくなって、その世界に入り込める長所がありますね。ただ、圧迫感があるといった欠点はありますが。うちの場合、庭の中心が芝で、その東側、南側、西側などをパートごとに分けて雰囲気を変えるようにしています。

>次に庭園に入るとすぐに全体が見渡せるというのは損であ る。次は何があるかなという期待を持たすことが出来ない。 だからイチイの刈り込みは目隠しでもあり、先が見えないか らこそ次の部屋に入ったときの新鮮な驚きも大きい。

フランス料理のフルコースみたいなものでしょうか。多分フランス料理にも次の料理を食べたときの新鮮な驚きを前後の料理の作り(味や歯ごたえなど)の関係で演出はされているのでしょうね。それがイギリスの庭園にもあるということですか。

>さらに花は明るい方に向くので花はすべて中央の観る人に 向かって微笑むということになるのです。

これは庭造りの上で結構重要なことです。
庭の南側に花を植えると花は見る人とは反対の方向を向いて咲きたがりますので、植えた花の南側に低木など少し背の高いものを植え光を遮断する工夫が必要です。
【】
今年もシシングハーストを訪れましたが、もう20回近く行っているので毎回新鮮と言うわけには行きません。ナショナルトラストの管理下にあり、思い切った変革は出来ませんから仕方がないのですが、今年は天候不順のせいもあり精彩がなかったように思います。でも近くのグレート・ディクスターは輝いていたのですから必ずしも天候のせいだけとは言えないでしょう。
【】
kazanさんの見方はいつも面白いですね!
もちろん、良い意味でです。
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Kazan

Author:Kazan

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宇藤華山(カザン)
東京芸術大学及び同大学院卒業 フランス政府留学生としてパリ高等美術学校で学ぶ。シャンソン歌詞の翻訳をしながらシャンソンを歌う。

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英国の庭園とコッツウォルズ、フランス花景色、水彩画作品を紹介。

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