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 1980年代に葉山のアトリエの庭に洋風の庭を作っていた頃、春と秋に3社から種苗のカタログが届き、さて今度は何を注文しようかと、庭の状況と予算を考えながらあれこれ思いをめぐらすのが楽しみだった。園芸をやっている人なら誰でも同じように悩み、楽しむのだろうと思う。

 その頃クレマチスといえば紫の「ザ・プレジデント」、白い「マダム・ヴァンホーテン」、赤い「クリムソン・キング」ぐらいで、あとは和種のテッセンが5種類ぐらいしかカタログに載っていなかった。
 バラを栽培する人も限られていて品評会に出すモダンローズを鉢植えで栽培している人が一人いたけれど散歩をしてもあまりバラとは出会わなかったように思う。

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 90年代に入ってガーデニング・ブームが起きるとオールド・ローズ、イングリッシュ・ローズと共にクレマチスも色々な種類が入ってきて、今ではイギリスと同じくらいの種類のクレマチスが手に入るのではないかと思うほどになった。一時ほどではないにしろガーデニングは確実に定着したと思われ、植物の選択の幅が広がったことはうれしいかぎりです。

 知人を通して知り合った玉崎さんと言う園芸家とロンドンで落ち合ってチェルシー・フラワーショーを見たのだが、その時彼が「時間のある主婦にはかなわない。」と言っていた。
 雑誌などに登場し、自宅にロックガーデンを作って植物にすごく詳しい彼でも「主婦にはかなわない」と言うのだ。

 彼の場合、造園会社の仕事に追われ、自分の庭まで手が回らないという意味なのかなと思ったが、園芸の作業は切りがなくあるし、時間をかければかけるほど完成度が高くなるのも事実で、バラやクレマチスを栽培しているのは90%ぐらいの割合で主婦なのではないかと思われる。

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 実際、バラに関するホームページを管理しているのもほとんどが女性で、たくさんの種類のバラの画像を載せていて育て方にも詳しいので、バラの品種名や病気についてはあまり詳しくない僕としてはおとなしくしていようと思う。
 フランスでもイギリスでもバラは病気知らずでとても楽に育ってしまうので、病気の名前すらピンと来なく対処の方法もあまり知らないのです。

 園芸に限らず日本の文化を動かしているのは女性であって、男性は気力的にも体力的にも趣味に費やす余裕がないというところなのでしょうか。ヨーロッパの場合園芸、食事、旅行、観劇など男女同数だが、日本の場合は女性が優位に見え、僕の絵のお客さんも80パーセントが女性です。

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 さて今日は人気のクレマチスです。フランスで始めてクレマチス・モンタナが咲いているのを見てこんなすごいクレマチスがあるのかと驚いた。屋根や木を覆って無数の花が咲いている。

 去年の5月にイギリスのハドスペンガーデンで写生をしたがモンタナが滝のように咲いていた。モンタナの下に蔓バラが、その下にアリウムやオダマキ、その下の池の上にはまた別のバラが咲き、さながらシンフォニーのようでまさに花の饗宴という感じだった。

 通りがかったオーナーのノリにそのことを言うと彼はとてもうれしそうな表情を見せたが、彼も音楽を目指していたからだ。
 池を挟んだ木立にはピンクのモンタナが絡み、その下には様々な色のオダマキが咲いていた。
 ハドスペンガーデンは今年1年は閉園し、多分大幅に庭を変えるのだろう。
来年が楽しみです。今日の写真はすべてハドスペン・ガーデンのモンタナです。
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 フランスのプロヴァンス地方では香料を採るためにラヴェンダーが栽培されている。香料のためのラヴェンダーには主に2種類あってラヴァンドル・フィーヌ(真性ラヴェンダー)とラヴァンダン(ラヴァンジン)に分かれ、ラヴァンドル・フィーヌは標高800メートルぐらいの乾燥した地域、ラヴァンダンは標高500メートルあたりで栽培される。フィーヌは繊細とか上質を意味し、上品な香りで香水や化粧品類に使われ、ラヴァンダンのほうは香りは強いが繊細さに欠けるため石鹸とかポプリに使用される。

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 奥プロヴァンスのソー(Sault)は標高800メートルの台地にあってラヴァンドル・フィーヌが栽培されている。花期は7月で8月には毎年ラヴェンダー祭りが行われる。

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一方ヴァランソールではラヴァンダンが栽培され、ソーより規模が大きく地平まで続く紫の海と強く香る風に酔いそうになる。こちらは6月下旬がピークです。

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 シューベルト「冬の旅」はミュラーの詩による24曲からなる歌曲集で、その中の第5曲目は「菩提樹」として特に有名です。
 「冬の旅」は恋に破れた若者が冬の荒野をさすらう物語だが、「菩提樹」の日本語の訳詩は言葉が美し過ぎるように思え、実際はもっと暗いモノクロームの世界なのではないかという気がする。

 曲は過去の思い出を懐かしむ甘く柔らかな長調のメロディーで始まり、中間部で短調に転じて冷たい木枯らしの中をさまよい歩く厳しい現実に戻り、再び最初の長調のメロディーに帰って、菩提樹の枝が木陰で休めと僕を呼んでいる、今の僕の心の傷を癒してくれるのは菩提樹の木しかないというような感じで曲を閉じる。

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 ヨーロッパの人にとって菩提樹は旅や農作業の疲れを癒すシンボリックな木陰だったに違いない。庭に菩提樹の木があれば木陰で食事をする。木陰がなければパラソルを使うが、夏の日は長くていつまでも明るいから家の中で食事をするなんてばかばかしい。長くて暗い冬の間、どうせ家の中に閉じ込められるのだから今のうちに太陽と風をたくさん取り込んでおかなければという気分に誰もがなる。

 「冬の旅」の菩提樹は西洋菩提樹(フランス語でティヨル、英、独語でリンデン)であって釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたというインド菩提樹とは全く別のものである。
 ヨーロッパでは広く街路樹などに植えられていて、ベルリンのブランデンブルグ門から延びるウンター・デン・リンデン(菩提樹の下)通りは夏はカフェが出て市民の憩いの場となる。

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 プロヴァンスのブイ・レ・バロニという町では6月の中旬にティヨルの取引の市が立つ。麻の大きな布に包まれたティヨルを持った人々が集まって業者との取引が始まり、ちょっとしたお祭り気分になる。

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ティヨルは苞葉と花をハーブティーとして利用し、神経を静める作用があるが、フランスでは風邪をひいた時などに砂糖、レモン、蜂蜜などを入れて飲むようだ。

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 「冬の旅」については僕にとっての懐かしい想い出がある。
 フランスに移住する前、葉山でガーデニングに夢中になっていたことは前に触れたが、もっとも好きな分野は音楽なので、葉山サロンコンサート協会を設立し、関東学院大学の葉山セミナーハウスのチャペルを借りてクラシックのサロンコンサートを企画した。
 第一回目のコンサートはシューベルトの「冬の旅」で、友人のピアニストの神野明さんにバリトンの池田直樹さんを紹介してもらってお二人に演奏していただいたのだが、その演奏は実に素晴らしかった。
  「冬の旅」で特に好きな曲は「おやすみ」「菩提樹」「あふるる涙」「からす」「辻音楽師」で、CDではやはりディスカウ、ムーア版が不朽の名演ではないかと思われます。

          ふらんすへ行きたしと思えども
          ふらんすはあまりに遠し
          せめては新しき背広をきて
          きままなる旅にいでてみん。

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 高校生の頃、荻原朔太郎の「旅上」という詩を読んだ。僕の高校生の頃もフランスはやはり遠かったのだが、芸大の掲示板でフランス政府の留学生試験の知らせを見てフランスに行こうと思った。
 ほとんど提出作品で決まるのだが、一応フランス語の試験もあるから少しは勉強しなくてはと思い、御茶ノ水のアテネ・フランセに通うことにした。今はどうだか知らないが御茶ノ水の駅からアテネ・フランセまでの通りにマロニエの並木道があってほんの少しだけフランスが近くなったような気がした。

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 マロニエはフランス語でマロンの木という意味になるが、栗の木はシャテニエといって別の言い方をする。
 5月に白とピンクと赤い花を咲かせ、夏に涼しい木陰を作り、パリではプラタナスに次いで多い街路樹だ。パリの夏の日差しは強くて暑い日も多いが湿気がないので木陰に入ると涼しく感じ、並木道が多いということがパリのアヴェニューの美しさを際立たせている。

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 秋になると栗を大きくしたような実が落ちてくるが誰も拾おうとしない、と言うことは食べられないのだなと想像がつく。
 ブルゴーニュでは道に誰の物とも知れない栗の木があって栗が拾え、栗ご飯を食べられたから怪しげなものに手を出す必要はなかったのだが、隣のショサール夫人に聞いたら虫も食わないほど苦くて食べられないとのことだった。
 しかし英語ではホース・チェスナッツと言うから馬は味音痴なのだろうか?アカシアの蜂蜜は明るい色で上品な味だが、シャテニエの蜂蜜は色が濃く、濃厚な味になる。

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 パリでは他の木より早めに葉が茶色く枯れて行くのに、地方ではきれいな黄金色になるのは車の排気ガスには敏感な木なのだろう。

 アンリ・ルソーの絵に花咲くマロニエと牛が描かれている絵があってマロニエの木のフォルムが美しいと感じたのだが、牧場の隣に住んでみて分かったのは、牛は草よりも木の葉が好きで首を伸ばして届く範囲の枝葉を食べつくすからああいう形になるということだった。
 マロニエの木陰は夏の暑い日差しを避ける牛さんの昼寝の特等席でもある。

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 スイセンとチューリップとどちらが好きですか?と聞かれればチューリップの方が人気がありそうな気がするが、僕はチューリップはユリ咲きのホワイト・トライアンフェーターとマリリンだけあれば良く、スイセンは花弁が白いタイプはすべて好きで、いくらあってもいいと言うぐらいのスイセン派である。

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 一番好きなのは雫水仙(トリアンドラス咲き)のタリアやトレサンブルだけれど、パッショナル、アクセント、ロマンスなどのピンクスイセンは咲き始めはカップが黄色いのに次第にピンクに変わっていくところがたまらなく、ありとあらゆる品種を集めた。

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 カップが小さめでグリーンの入ったスイセンや、ポエティクス系のアクタエア(口紅水仙)も好きでスイセンについて書き出すと止まらなくなりそうなのだが、チューリップがあまり好きになれない理由をいくつか挙げると、派手すぎてナチュラルガーデンの中では浮いてしまう、温度が急に上がるとだらしなく開きすぎてしまう、庭の野ネズミに球根を食べられてしまうなどだが、スイセンは一度植えれば放置しておいて良いので楽だし、ムスカリやチオノドクサ、アネモネ・ブランダなどとも合いやすい。

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 学名のナルシサスの名はギリシャ神話の中の美少年ナルキソスが、水に映った自分の姿に恋をして憔悴のあまり死んでしまい、彼がいた水辺に頭を垂れたスイセンが咲いたということから来ていてナルシズムの語源だが、 カラヴァッジオやイギリスのラファエル前派の画家、ジョン・ウイリアム・ウォーターハウスなどが絵に描いている。


 園芸を始めたての頃は誰でも花に目を引かれる、というよりは花に引かれて園芸にのめりこんでいくのが普通です。星の数ほどあるブログに中からここにたどり着いたあなたもその一人。

 美しい花は美人の歌手で、その鈴を鳴らすようなコロラトゥール・ソプラノの歌声に魂を奪われるのだが、そのうちにピアノを弾いているオジサンに気が付くとオジサンのピアノもなかなかいいじゃない?軽やかな歌声をしっかりしたバスで支えている、と思うようになり、この伴奏のピアノが茎と葉に当たると思うのです。

 歌曲ばかりでは飽きるから、隣にヴァイオリンとヴィオラとチェロを植えて、フルートやクラリネットをあしらい、花だけでは単調になるからとコントラバスとチューバという名の木も植えれば庭が出来てきて、あなたは指揮者というわけです。
 ソプラノの歌だけでも美しいけれど他の音と絡み合った時にハーモニーが生まれ、不協和音までも上手に取り込むことが出来ればあなたは作曲の才能もあるかも知れない。

 ピアノを弾いて思うのですが、例えばショパンのノクターンのクライマックスでよく不完全協和音や不協和音が使われるのですが、それらは心地よい和音の連続の後でゾクゾクするような妖しい響きとなり、この部分で一番ショパンはピアノを知り尽くした天才だと感じます。自分の好きなきれいな色の花ばかり植えていると単調になりますが、ちょっと変わった色彩の植物をその中に入れると庭が引き締まるということがありますね。

 ということで今日取り上げるのは主役が葉で花が伴奏のような植物で、その葉の色が不協和音とは言わないまでもその中間の不完全協和音のような色彩のヒューケラです。ヒューケラは花にはない色彩を持ち、妖しい魅力をたたえている様に思われ、特に気に入っているは銀色の葉のもので、木漏れ日に光るさまはたまらないですね。
 ヒューケラの和名はツボサンゴ、英名はコーラル・ベルズですからサンゴの鐘ですね。
 今日はヒューケラの中でおいしそうなのだけを選んでみました。

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プラム・プディング               ストロベリー・キャンディー

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ライム・ケイ                 マーマレード

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チョコレート・ヴェール            チョコレート・ラッフル

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クレーム・ブリュレ               キャラメル

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マルティーニ、カルパッチオ、リッピの受胎告知

 ルカ伝による新約聖書にナザレのマリアが大天使ガブリエルから受胎を告知される記述があり、それをもとにたくさんの受胎告知の絵が描かれた。

 もっとも有名なのはフィレンツェのサン・マルコ修道院のフラ・アンジェリコの「受胎告知」だと思うが、この絵には他の多くの絵に描かれている約束ごとのユリの花やオリーブの枝や鳩やマリアが読んでいるはずの旧約聖書も描かれていない。それゆえに静かな空間の中での抑制された動きに却って心打たれ、この曲にあえてバックグラウンドミュージックを付けるとしたらマルチェルロのオーボエ協奏曲がいいかなと思った。

 ウフィッツイ美術館の第3室あたりにあるシモーネ・マルティーニの「受胎告知」は驚きのあまり身をよじっているマリアが描かれているが、大天使ガブリエルはオリーブの枝を持ち、マリアとの間には純潔を意味する白いユリが花瓶に活けられている。

 同じくウフィッツィにあるダ・ヴィンチの「受胎告知」は大天使ガブリエルが百合の枝を持っていて、他にもカルパッチオやフィリッポ・リッピの受胎告知もガブリエルがユリの枝を持っている。

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 フランスでもっとも一般的に見られる白い百合はリリウム・カンディドゥムで、カンディドゥムは白を意味するラテン語だが、一般的には「マドンナの百合」と呼ばれている。 
中国から入ってきたリーガル・リリーと似ているが花の付き方と形がやや異なる。

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上の写真はシシングハースト城のホワイトガーデンのリーガル・リリーです。

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上の写真はイギリスのヘルミンガムホールのマドンナ・リリーです。

 フランス語でジョンキーユと呼ばれるスイセンがシャンパーニュの森に咲いていた。どこまでも続くので森の奥まで入ってしまい出口が分からなくなり、人はいなく、夕暮れが迫り、スイセンの森で遭難するのかと思った。

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 アルザスの南に位置するヴォージュ地方のジェラルメールはヴォージュの真珠と呼ばれ、冬はスキーのできるところだが、雪解けの跡にたくさんのスイセンが咲き、スイセンの町としても知られている。

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 スイセンの茎を金網に刺して動物や建物を模した大きなオブジェを作り町を練り歩く、春の喜びに溢れた祭りが行われる。

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 アルケミラ・モリスは最近では日本のどこの園芸センターでも売っているから育てている人も多いと思うが、20年以上前にタキイかサカタのカタログで見つけて取り寄せ、葉山の庭に植えたときは育て方が分からず夏に枯らしてしまった。

 フランスに移住してパリで苗を見つけて早速植えたが無肥料で放っておいても簡単に育ち、こぼれ種でいくらでも増えた。
 寒さには強いが夏の高温多湿に弱く、湿った所が好きということが後にわかったが、葉山ではカラカラに乾燥する場所に植えてしまったのと、酸性土壌が失敗の原因だったと今にしてみれば思える。園芸は失敗して少しづつ知識を得ていくものだと思うが、1年に一度しか失敗できないので経験を積むには時間がかかりますよね。
 パリからブルゴーニュに移ったときもそれまで育てた苗は何よりも大切なものだったから何度も車で往復してアトリエの庭に植え替えた。下の写真はそうして大事に運んだ一株が増えに増えて、余った苗を売ったらお金になるのになあと皮算用するほどに育ったアルケミラと、教会の手前の白っぽいのは一昨日のハクロニシキです。

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 アルケミラは和名は羽衣草だが学名の語源は「小さな魔法的なもの」という意味のようで、葉にたまる雫を聖水に例えて癒しの魔力を感じたようですが、小さな水晶玉のようにも見ますね。
 また女性の美容や健康にも役立つハーブとしても知られ、フランス語では「マントー・ド・ノートルダム」、聖母マリアのマントとも呼ばれ、英語の「レディース・マントル」、ドイツ語の「フラウネン・マンテル」でも同じ意味になり、さらには「ライオンの足」という名もあります。「ライオンの歯」はタンポポのことだから「ライオンのたてがみ」なんて植物もアフリカにはありそうですね。ちなみにタンポポのことはフランス語でピッサンリとも言って「オネショ」のことになるのだが、ゆでた葉汁に利尿作用があるようだ。

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 小さな弱々しかった葉山のアルケミラしか知らなかったので、ブルゴーニュの庭の他の植物が育たないような水浸しの場所でも70cmぐらいの株に簡単に育つのは驚きだった。
 やや緑がかった黄色い花はリンゴの香りがし、何度も絵のモチーフにさせてもらったが、半日陰でも育ち、湿った場所のグラウンドカバーとしては理想的な植物だと思います。

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 アルケミラの隣には紫の葉のヒューケラを持ってくれば補色で引き立てあうので幸せな結婚であると言えるでしょう。
 そういえば友人のアンドレが理想のパートナーとは似ているということよりも、無いものを補い合い、引き立てあう関係だと言っていた。同感、・・・ではありませんか?


 今日はどこにでも咲くカンパニュラについてです。
 カンパニュラにはたくさんの種類があり愛らしくて大好きな花だが、日本ではベルフラワーという名前で園芸店で売られているポルテンスキラジアナは、フランスでは「壁のカンパニュラ」と呼ばれていてコリダリス・ルテアなどと共に壁に咲く花です。好んで過酷な条件の下で育ちたい訳でもないだろうし、もちろん平地でもぎっしりと花を付けます。

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 このカンパニュラはあまりにもありふれているのと、なぜかこのポルテンスキラジアナだけは白花種がないので興味が持てなかったが、家にも石の隙間はいくらでもあるからと、隙間にわずかな土を入れて別の種類のカンパニュラの苗を植えつけては見たもののすぐに枯れてしまった。
 水遣りは出来ないし石は焼けるように熱くなるから、たまたま隙間に種が入り込んでそこで発芽しない限り急に過酷な環境に変われば適応できないに違いない。
 それにしてもほとんど土がないのにどうして育つのだろう。これほど花が咲くのは種の保存のためのメカニズムなのだろうか?

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 ブルターニュのサン・シュリアックのロマネスクな教会の鐘楼に、誰が植えたわけでもないカンパニュラが無数の鐘をひっそりと鳴らしているようだった。

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 カンパニュラと共にわずかな隙間を見つけて育つ花にヴァレリアン(カノコ草)があるが、サン・シュリアックの町の苔蒸す石積みの塀の上に一株のカンパニュラと共に咲いていた。

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ヴァレリアンの赤花種はどうも好きになれない色だが、白花種は好きでたくさん植えた。トルコキキョウのような形の葉の色も良く、一番上の写真の左上隅に見えているのがそれです。

 この木をご存知でしょうか?
「ハクロニシキ」といってイヌコリヤナギの園芸種なのだけれど、日本であまり多く見かけないのでは?

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 ハクロニシキに最初に出会ったのは16年前で、パリの中心部のシャトレからサマリテーヌまでのセーヌ河畔に園芸店がたくさん並んでいるのだが、そこで一目ぼれして苗を買った。
 苗のラベルには Hakuro Nishiki と書いてあるけれど、どう考えてもこれは日本語だ。「葉黒錦」??? 葉が白いのに葉黒とはどうしたこと?「錦の羽衣」の間違いではないのか?と思ったが、だいぶ後になって「白露錦」と分かった。う~ん、最近の関取みたいな名ですね。

 柳だからやや湿った場所を好み、成長はすごく早い。新芽はサーモンピンクで、白い斑とグリーンとで葉が3色になるのでフランスでは「三色柳」、英語では「まだらの柳」とも呼ばれるがヨーロッパではほとんどが Hakuro Nishiki と表記されている。

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 離れてみると白い花が無数に飛び交っているようにも見え、ホワイトガーデンにはぴったりで、庭を明るく、エレガントな印象にしてくれる。ブルゴーニュの庭ではすごく大きな株になったが刈り込むことも出来、挿し木で簡単に増やせるが、乾燥しているところでは成長が遅い。
 名前からして日本から渡ったものと思われ、フランスやイギリスの園芸店では必ずあるのに日本ではあまり知られていないようだがカザンお勧めの庭木である。
 ヨーロッパでは高い位置で接木してスタンダード仕立てにしたものが特に人気があり、エントランスの両脇に鉢植えで飾るとおしゃれな感じになる。

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 今日は園芸用具についても少し書きましょう。土を掘るのに何を使ってますか?ほとんどの人がシャベルと答えるでしょう。
 園芸のすべての作業は腰を使い、除草しても腰が痛くなりますから、少しでも腰の負担を軽くするようにしなくてはなりません。ですから鍬を振り回すなんてとんでもないと思います。土が軟らかければシャベルでも良いのですが固くても柔らかくても園芸用のボーダーフォークが一番楽です。
 先が細いから固い土にも楽に入り、すごく固ければ体重を乗せることも出来、根を切ってしまうこともなく、土も意外なくらいすくえます。
 イギリス製になりますが、少し値段が高くても柄の上部までスチールで覆われているので、柄が腐って折れるようなこともなく10年以上の耐久性があり、腰の負担を軽くするためにもお勧めです。
 イギリスでは2つのサイズがあり、女性には④番の小さいサイズのボーダーフォークがずっと使いやすいのですが、手に入らなければ日本製の配管溝堀用の幅の細いシャベルも悪くないと思います。

 インターネットで調べたら日本ではスペア&ジャクソン社製のがDIY-TOWN にありました。 GREEN VALLEYにもボーダースペード、 ボーダーフォークが揃っていて、③番のボーダースペード(シャベル)もあれば完璧です。

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ベニバスモモの春と初夏の画像

 ヨーロッパでは赤い葉の木が主に3種類あってアカバブナとノルウェーカエデ(クリムゾンキング)とベニバスモモである。
 赤と言っても赤紫蘇色なのだが、葉としてはユニークな色彩だからひときわ目立ち、木立の色彩を多様なものにしている。
 どれも至る所で見られるが、アカバブナは25メートルぐらいの巨木になり、ノルウェーカエデは10メートルまで、ベニバスモモは桜と同じ程度の高さで、桜よりも早く明るい桃色の花を咲かせ、花も赤紫色の葉色も楽しめるからヨーロッパではとても人気がある。

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 この木のそばに銀葉や青みがかった葉の木を植えれば、新芽時の絶妙な色彩のハーモニーがエレガントだし、アカシア・ゴールデン、ネグンドカエデ、ノルウェーカエデ・ドラモンディなどの明るい葉色の木を隣に植えれば色彩の対比によってお互いが引き立つ。
 あまり日本の園芸事情に詳しくないのだが、実際に植わっているのを見たことがないのはどうしてだろうかと不思議に思う。桜や桃が育つのだから日本で育たないはずはないと思うがなぜ人気がないのでしょう?

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 ヨーロッパでは街路樹を赤紫の葉の木と斑入りの明るい葉の木と交互に植えたりして、路往く人の目を楽しませるが、日本でももっと街路樹が多様化するといいと思っている。
 ベニバスモモの英語名はチェリープラムというおいしそうな名だが、実は硬くて不味いので3拍子揃っているとは言えないのが残念。


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 イギリスで憧れの庭木はモミジだと思う。ガーデンセンターに行くともっとも目立つところに細葉のモミジが飾られていて、美しいが価格も高いから簡単には買えなく、誰もが羨望のまなざし。細葉系だけで20種類ぐらいは手に入り日本語の名前がついている。

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イギリスのイーストサセックス州にウェイクハースト・プレイスという、王立園芸協会のウィズリーガーデンの姉妹庭園があるのだが、そこで素晴らしい細葉のモミジを見た。どれも大きな木で樹齢100年以上ではないかと思われたが、当然日本から持ち込んだものであるからイギリス人の植物に対する情熱とプラントハンター魂を見せ付けられる思いだった。
 イギリスの庭園はイタリアと日本の庭園から大きな影響を受けて深化していったと考えられるが、日本の代表的な庭木がかくも美しくイングリッシュガーデンに溶け込んでいるのを見てちょっと誇らしい気持ちになった。

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ウェイクハースト・プレイスの歴史を感じさせるモミジ

 イギリス人の園芸と住まいに対する情熱と理解は高く、テレビでは園芸と家のリフォームとクイズ番組がやたらに目立つ。
 隣に住んでもらいたい人のナンバーワンはテレビに良く出てくる園芸家のアラン・ティッチマーシュで、理由は「自分の庭の面倒を見てもらえそうだから」だって。
 日本だったらお笑いタレントか人気の女子アナになりそうだけれど、そういえば日本に多い食べ歩き的な番組は見たことがないから、イギリス人は食い気よりもインテリアとアウトテリアにお金をつぎ込み、クイズ番組か映画でリラックスというのが一般的なようだ。

 今日はジヴェルニーのモネの庭に行きましょう。春から秋まで一年中花が咲いています。

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 4月はチューリップやワスレナグサ、5月はフジとアイリス、6月はバラ、7月はスイレン、8月はダリアがメインでしょう。
 庭だけでなくアメリカン・ミュージアムの方にも歩いて見ましょう。

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 パリのサン・ラザール駅から列車でVERNONに行き、駅からは列車の到着に合わせてバスが出ているようです。直通列車はサン・ラザール駅 8:16発と12:04発です。出札口に並んで切符を買うと最低20分は見なくてはならなく、すごく時間がかかりますので相当余裕を持って行くか、自動販売機で買いましょう。ただしフランス語が分からないとかなり難しく、紙幣やコインは利用できず、日本発行のクレジットカードだと利用できない場合もありますのでご注意!必ず目的地まで切符を買わなければならなく、乗り越し清算は出来ません。改札口はないので駅でガチャンと日時を刻印してください。片道11ユーロ40です。


こんにちは、僕はリスのヘーゼルです。
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 パリの近くのライ・レ・ローズ(l'Hay les Roses)のバラ園です。
 見頃はその年によって差はありますが6月10日ぐらいからでしょう。

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バスでも行けます。パリの Porte d'Italie から184番のバスです。
RER B線の Bourg la Reine の駅からもバスがあるようです。歩けないこともないでしょう。


パリのブーローニュの森の中にあるバガテル公園はそのバラ園で有名だが、ジャーマンアイリスのコレクションも素晴らしく、パリジャンの憩いの場となっている。

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公園の中は広くてワイルドガーデンには孔雀が放されている。孔雀は人が来ると大きな声で鳴くので泥棒避けにもなり、すごく高い木の上にも飛べるのに驚かされる。いつか庭に白孔雀を飼いたいなあ・・・。

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スイセンやチューリップ、ワスレナグサの花壇がうれしい。

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ジャーマンアイリスにはあらゆる色があるといわれ、フランスやイギリスでは「ひげのアイリス」と呼ばれていて人気が高い。赤はないけれど・・・。

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湿気を嫌い乾燥を好むのでヨーロッパの気候にはぴったりで、日本の梅雨と高温多湿には弱いが古い品種は日本でも簡単に育ち、改良されてデリケートな色の新しい品種ほど難しくなる。
 
フランスでは冬の湿気で腐らせてしまったことも多かったが、花がない時期でも葉がアクセントになり花壇にはなくてはならない植物だ。根の部分の3分の2は地上に出ているぐらいに浅く植え、水はけと風通しを良くすれば美しい花が楽しめるでしょう。

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パリではバガテル公園にジャーマンアイリスの花壇があってたくさんの人でにぎわう。

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赤いヒナゲシは庭には植えないと書いたのはフランスでは道端にいくらでも咲いているからなのだが、イギリスやフランスではセイタカアワダチソウをわざわざ植える人がいる。

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セイタカアワダチソウはフランスの野や道端で見ることがあるが、日本のようには増えないようだから花壇に植えても心配ないのかも知れない。しかし根に毒があって他の植物を枯らして繁殖していくそうだから、植えるのだったら地中にバリアを埋め込んだ方が安全でしょう。

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ある日ミモザの話をしていたらミモザは花粉症になるからと言われ驚いたことがあり、黄色い花は花粉の塊ではないから誤解だと思うが、同じようにセイタカアワダチソウもいかにもか花粉を撒き散らしそうだけれど虫媒花なので濡れ衣です。

淡い黄色はすごく好きなのに濃い黄色から濃いオレンジにかけてはどうしても好きになれないのはピンク系の色と合わないからで、サルビアのような明るい赤は目立ちすぎて嫌いだけれど暗い赤は大好きな色です。

ウイズリーガーデンのレストランに行く通路脇に最近ススキの類を植え始めたが、茅の類も日本で庭を作るときに大変な思いをして掘り起こしたからフランスの庭に植えたいとは考えない。しかし斑入りの品種はとても美しくて水辺には是非とも欲しく、だんだん地味なグラース類に興味が湧いてきた。

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 広い庭には背の高いアクセントが必要でその一つにケシ科の PLUME POPPY(直訳すれば羽ケシ)という背の高い植物がある。ポピーと言ってもヒナゲシのような花が咲くわけではなく、地味なクリーム色の花を頂に付けるだけなのだが、その葉の形とやや青みがかった色がユニークで、花壇の一番奥に屏風のように配置し、手前の植物を引き立てるために使うのが普通だ。イギリスの王立園芸協会のウイズリーガーデンのプランツショップで6ポンド(1200円)で買って、ドーバー海峡を渡りブルゴーニュの庭に植えた。

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だが伊豆高原で散歩をしていたら空き地にたくさんあるではないか!日本名はタケニグサ(竹似草)と言って打ち捨てられた植物だったのだ。

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 イバラはフランスではとても厄介な植物で、日本でも野にないわけではないがその勢いがまるで違う。凄まじい勢いで伸び、伸びた先が地に触れるとそこで根を張り、栄養補給をしてさらに先に行く。葛の広がり方と似ているが、葛には棘がないけれど棘だらけだから牛も食べなくて退治するにも体中にかすり傷ができる。

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フランス語で鉄条網を「人工のイバラ」と呼ぶのだがイバラは「天然の鉄条網」です。放置しておくとイバラは木質化して硬く太くなり、ツルとツルが絡まり高さ3メートルぐらいの棘の壁ができてその中に入り込むのは不可能となります。こんなところ誰だって歩けない。

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 だがたった一つだけうれしいのはイバラの実であるミュールは英語ではワイルドブラックベリーと呼ばれ、おいしいジャムになること。

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 自分の庭には誰でも思い入れがありますから比較の対象にならないと思いますが、野に咲く花でもっとも感動するのはブルーベルです。

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 ブルゴーニュのモルヴァン自然公園の中にブルーベルの群生地があり、フランス語では森のヒヤシンスといいますが、どこまで続くか分からない青い波の中に佇む時に幸せを感じるのは木々の新緑の梢に閉ざされたしじまに漂うブルーベルの甘い香りのせいに違いありません。花の妖精に夢の世界へと誘われるような気がしてきます。

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妖精の香り

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昨日ヒバリが飛んだのでヒバリに関する花といえばラークスパーとなる。
 ラークは英語でヒバリ、スパーは拍車、乗馬のときの長靴のかかとにつける金属の突き出た棒で、これで馬の腹を蹴れば馬はたまったものでないから走り出すというものだが、その形に似ているからつけられ、オダマキの距もスパーと呼ばれる。フランス語ではピエ・ダルエットと呼ばれヒバリの足となる。

 一方日本名はチドリソウだから花の形を飛ぶ鳥に見たようだが、学名はデルフィニウムとなり、デルヒはイルカで花よりもつぼみの形に注目したみたいですね。
 デルフィニウムといえばむしろヒエンソウ(飛燕草)のイメージになり混乱しそうなのだが、カザン流には一年草の細い葉のものをチドリソウ、多年草のデルフィニウムをヒエンソウと区別しているが正しい分け方かどうか分からない。
 同じように困るのがゼラニウムで、宿根性のゼラニウムはゲラニウムと呼ぶが英語では発音が同じでありながら花姿も性質もまるで違う。

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 20年ほど前、葉山で庭を作っていたのだが、向かいのおじいさんが一人で住んでいる家の庭に見たことのない高性の青い花が咲いているのを見つけた。一重のチドリソウであることはすぐに分かったが花のカタログには八重の園芸種しか載っていない。
 種が出来たら少し分けてくださいとおねだりしてどうしてこんな珍しい花がここにあるのか聞いて見た。特に花に興味がありそうにも見えず最低限の手入れしかしていないのに花の図鑑にも載っていなく、市販もされていない花がどうしてここに咲いているのか不思議だった。

 理由は亡くなった奥さんが花の好きなハーピストでヨーロッパに行ったとき種を持ち帰ったものだという。奥さんが大切に育てていた花だから絶やさないようにしているというのだ。こういうのはまさにドイツ語のアルテ・リーベ(昔の恋、思い出の恋)的だなと思ったが、今ではその老人も亡くなってしまい、古い小さな家だったから家も取り壊されて庭にも咲いていないだろう。

 だが葉山の僕の庭に来たおかげでチドリソウは生きながらえ、90年にフランスに移住する時も種をスーツケースに入れたからパリでもブルゴーニュでも花を咲かせた。冬に一時帰国したとき、実家のある伊豆高原で友人のペンション・アヴォンリーの前田さんと伊豆コテージガーデンクラブを立ち上げたのだけれど、フランスから持ち帰ったチドリソウの種を会員に配った。その後アヴォンリーが庭の全国コンクールで最優秀賞を取った時もブルーのチドリソウが咲き乱れていたから、会ったことのない女性のハーピストが異国から持ち帰った花の種が1万キロを行き来して、今も日本で咲き続けていることになる。

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ブルゴーニュのアルバガーデンではその後花がもっと小さく無数に付くホワイトクラウドという品種のチドリソウとベラドンナ系とパシフィック系の白いデルフィニウムに移行していったが、青い一重のチドリソウは僕のイングリッシュガーデンの原点であり僕のアルテ・リーベでもある。

遥か遠い昔に読んだ欧米の詩や小説の春の場面にスミレ、キンポウゲ、サンザシ、揚げひばり、夜鳴き鶯という言葉が出てきた。 
 スミレはすぐにイメージできるけれど他のものは良く分からなく記憶の底に眠った。

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 フランスの冬は長くて暗く、分厚く垂れ込める灰色の雲に頭を押さえつけらながらじっと耐えなければならない。だからこそ春の訪れはまぶしく踊りだしたくなる気分になるのだが、まだ灰色の景色の中に最初に花をつけるのがサンザシだ。
 遠くから見れば米桜のようにも見え、春を告げるというよりも春の予感、フランス料理でいえばアペリティフ(食前酒)のシャンパンの泡のようなもので、本格的な春の料理を食べられるのはまだまだ先のことである。
 サンザシの枝には棘があるから生垣には理想的で牧場に沿って長く植えられている場合が多く、晩夏に小さな赤い実をつける。

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 キンポウゲは金鳳花と書くが漢字の豪華なイメージからすると実物の花はあまりにもつつましく小さすぎる。
 フランス語では金のボタン、英語ではバターカップだからこのほうが納得のネーミングで和名の別名、ウマノアシガタは葉の形から来るようだがよく分からない。
 どこにでもうんざりするほど咲くし、ニスを塗ったような光った花びらが好きでなく、茎、葉も好みでない被差別植物なのでどんどん抜くが、あなたは野に咲く姿が似合っているのだからガマンしてね。

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春一番にさえずるのはひばりだろう。フランスでは曇るとすごく寒いが太陽が出さえすれば3月でも暖かく感じる。そんな暖かい日を待って待って待ちわびて空に飛び出し歌うのがひばりだからこの声を聞けば空は飛べなくても気分はアルエット(ひばり)。
 ひばりは春料理のミーザン・ブーシュ(突き出し)かな。オードブルは何にしよう。
 ついでながらフランス語のオードブルは作品外という意味で「まだこんなもんじゃありませんよ」とでも言いたげだ。確かに後で必ず納得するもので、僕としてはオードブル2品、メインなし、デザート2品とコーヒーが理想なのだが・・・。

 夜鳴きウグイスはフランス語でロシニョール、ドイツ語でナハトガル、英語でナイチンゲールだが、ヨーロッパきっての名歌手で野外歌劇場のプリマドンナである。夕方に高い木の梢で鳴くが小さな鳥なのでなかなか姿が見えない。

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 花に囲まれ、春の陽だまりに佇み、鳥のスプリングソナタを聞く楽しみは辛い冬を耐えたご褒美で、自然のもったいぶったちょっと意地悪な演出でもある。

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 赤いヒナゲシは道端に咲いているからわざわざ庭に植えようという気にならないが、ドライブしてて小麦畑の中に赤い群れを見つけるとうれしくなる。赤いヒナゲシは手入れの悪い麦畑に多く咲くが、あまり農薬を使いすぎてヒナゲシが咲かなくなったら寂しい。

 このヒナゲシは日本でも咲くから今度たくさん種を採取して日本の上空からばら撒いたらどうだろう。もしもあなたのそばに赤いヒナゲシが咲いたらそれはフランスから種が飛んできたのです。

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 黄色いヒナゲシの学名はメコノプシス・カンブリカだがウェルシュ・ポピーとも呼ばれ、イギリスの湖水地方のグラスミアの道端に咲いていたので種を手に入れた。
 こぼれ種でよく増え、今まで登場したブルーのコリダリス、手前のディケントラ、右の白い小さな花のオンファロデス・リニフォリアと同時に咲き、見ているだけでシアワセな気分になれるから花って不思議ですね。

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 青いケシのメコノプシス・ベトニキフォリアを初めて見たのは12年ほど前だったと思うがエジンバラの植物園できれいに咲いていた。エジンバラの植物園はロックガーデンがことのほか素晴らしく、庭に岩場があるからそこをロックガーデンにしようと考えた。グランディスの種は王立園芸協会の会員には無料配布してくれるから早速手に入れたが、失敗続きで最初の年はナメクジにやられ全滅、次の年は暑さにやられ全滅。次の年は一番涼しそうな場所を選んで育てたがやはり全滅。

 ロンドン近郊のウィズリー・ガーデンやサヴィル・ガーデンでも咲いているが、林を作りわずかに木漏れ日があたるひんやりした環境を作り、土をリッチな酸性土壌に変えて、いつも霧が漂っているような冷涼な気候を庭に作り出すにはブルゴーニュの夏は乾燥しすぎて暑すぎて自然な感じで庭に咲かせるのは不可能でした。

 いつかヒマラヤに行って高嶺の花を見てみたいものです。


 田舎道を車で走っていて目の片隅にピンクの花が過ぎった。道端に咲いていたのはケシの花だったが明るいトルコブルーの葉も美しい。日本では栽培してはいけないケシが道端に咲いているのにはちょっと驚いたが、花はそのままにして種が出来るまで待った。

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 翌年は大量のケシの花が庭に咲いたがフランスやイギリスでは栽培は認められているから問題ない。その後純白の花、暗い紫、八重咲きの花など色々な種類の禁断のケシを栽培したが、フランスやイギリスでもヘロインは製造できるのだろうか?ケシの種を傷つけて出る白い液を乾燥させると麻薬になるのだが、(よいこのみなさんはまねしないようにしましょうね。)一度も試みなかった。絵を描くよりもこちらの方が高収入になるなんて思ってしまったら困るし、フランスのような寒い地方ではヘロインは出来ないと聞いたこともあるが真偽のほどは分からない。

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 成田空港に着くとエスカレーターが「足元にお気をつけください。ベルトにおつかまりください。」と日本語と英語でエンドレスでしゃべっている。日本のエスカレーターの速度はすごく遅く、パリの半分ぐらい、ロシアの地下鉄の3分の1ぐらいのスピードだ。
 どんな未開の地から来る人だって日本に来て初めて動く階段を見るなんて有り得ない。誰もがうるさいなあ思うだけだが事故が起きたときの責任逃れでたれ流しているのでしょう。
 東京駅に着き、新幹線のホームで列車の到着を待つ間もエンドレスで電車とホームの間が開いているからご注意くださいと延々と聞かされるのに耐えなければならない。
 熱海の駅に着くと自動改札機の切符の入れ方をエンドレスで放送し、しかも駅員が自動改札機にへばりついてエンドレスでしゃべり、乗車券を受け取るところで自動改札機が乗車券を取り忘れないようにと話す。熱海駅で在来線に乗りかえるのだが、ホームには8人しかいないのに駅員が「お急ぎください。ご注意ください。まもなく発車します。」とヒステリックに音の割れたラウドスピーカーでがなりたて、次いで音程の狂った電子音が雄鶏のけたたましい鳴き声で追い討ちをかけ、駅員がホームの備え付けのベルを30秒鳴らしてからホイッスルを鳴らしてドアが閉まりますと教えてくれる。
 駅に着けば商店街のスピーカーから歌謡曲が流れ、と言うのは無かったがスーパーではエンドレスでいらっしゃいませ、安いですよと肉売り場でも魚売り場でもラジカセが話しかけてきた。

 レストランやカフェで音楽が流れていなく、機械が話さなく、時間が来れば無言のうちに列車が出発してしまい、ふと気が付けばかなりのスピードで走っているというフランスから来ると音の洪水で疲れてしまう。ウイーンから帰ってきた大学教授がこの音の暴力について語っていたが、特異な人種の嘆きにしか過ぎないのだろう。

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 話が脱線してしまったがヨーロッパでは事故が起きれば自己責任の割合が大きい。フランス人歩行者の赤信号まるで無視、ロンドンの走行中の飛び乗り飛び降り自由のドアなしバスも自己責任の社会だからこそ存在するのだろう。
 オランダでは運河に落ちても助かるように小学校入学前から靴をはき、着衣のまま泳げるようになるのが必修だが、運河という運河にガードレールを付けない美意識の表れと共に自己防衛、自己責任の思想が根底にある。
 フランスの学校は制服は無いが、小学生でもピアスやアクセサリーは自由だし、低学年はお菓子も家から持ってきて教室で食べるなど、規制を嫌う国民性と規制を好む国民性の違いを至るところで感じる。

 さてここでケシに戻るが、もしかしたら麻薬は取れるかも知れない。でも花があまりきれいだから大目に見るけど、ヘロインを製造してはいけないよ。ということであったとしたら日本から見たらなんとおおらかな措置だとあなたは思いませんか?

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4月の大地を空から見ると茶と緑と黄色のパッチワーク。茶は大地の色、緑は小麦の新芽色、黄色は菜の花だ。ヨーロッパでは菜の花畑がすごく多い。だが食用油はほとんどがヒマワリかトウモロコシで菜種油は少ない。それでは種を粒がらしのマスタードにするのか?そんなにマスタードができても食べきれない。人の目を楽しませるため?それもありえなーい。 

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 菜の花は緑肥として栽培され、枯れたところでトラクターで土に鋤き込まれ土壌改良の役割を担う。レンゲが日本で緑肥として栽培されてきたのと同じ理由で、稲や麦を育て、疲れて硬くなった土地に活力を与える。つまり菜の花は大地のリポビタンDなのだ。

 緩やかにうねる波のようなフランスの大地の地平まで続く菜の花畑はフランスの農地の広さを見せつける。自給率200パーセントのフランスに比べ、自給率の低い日本に休耕田がたくさんあり、その助成制度などよく分からない部分が多く、この制度を改革しようとあまり言われないのが不思議でならない。 

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 あんなに広いフランスでも遊んでいる土地は無く、ヨーロッパではどんなに狭い土地でも羊や馬を放し、芝刈り機の役をするから放置されて荒れているという感じが全くないが、日本では遊んでいる土地がごろごろで、茅、葛、セイタカアワダチソウなどがはびこってしまう。 
 ヨーロッパでは多すぎた木は暖房に利用されているから下草で踏み込めない森も林もないが、日本では、例えば葉山の山桜はかつては炭焼きのために植えられ、山は管理されていたが今では放置されているから人は入り込めない。山に杉を植林したけれど管理できず利用もせず多すぎてしまったのが花粉症の原因ではないの? 日本の広大な森林をあまり利用せず、海外から安い材木を買い続けていていいのだろうかと思ってしまう。

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 コリダリスに凝りだしてしまった。
イギリスの園芸雑誌で見たこともない鮮やかなブルーの小さな魚が泳いでいる写真を見つけたのがきっかけで、どうしてもコレクションに加えたいと思った。
 今から12年ほど前のことだがフランスのカタログには載ってなく、園芸店にももちろんない。こうなればイギリスに行くしかないということでカレーからフェリーに乗りドーバー海峡を渡った。

 フェリーの中の売店で園芸誌を買い、コリダリスを扱っていそうなナーセリーをチェックする。
 イギリスでは山野草、高山植物、水性植物専門とか、さらにはビオラとかヒューケラ専門とかのナーセリーがたくさんあり、フラワーショーや庭園巡りもいいが僕としてはこちらの方に力が入る。
 だってチェルシーフラワーショーでいいなと思ってもその場では買えないし、後からそのナーセリーに行っても必ず売り切れている、というよりも初出品のサンプルが繁殖されて売られるようになるまで数年かかるということなのだが、庭園を巡り、この花が欲しい!と思って付属のプランツショップに行くと他のガーデンセンターでも売っている平凡なものばかりだったりしてがっかりすることも多い。美味しそうな料理のメニューを散々見て注文したら今日はハンバーグしか出来ませんといわれるようなものだ。

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 さて、マニアックナーセリーに行こうとするがこれがなかなか大変で、とんでもなく辺鄙なところにあるから、近くに来てからナーセリーにたどり着くまで数時間うろうろしてしまうこともしばしば。看板はないし、何の目印もないようなところではようやく公衆電話を探して電話で聞いてもさっぱり分からない。
 B&Bを探すときも牛乳瓶が置いてある角を曲がって、、、とか言われても薄暗くなって来ると見落とすことだってある。イギリス人が日本の田舎に来て、字下林としかない住所の鯉の養魚場を一人で探すようなもので、日本人が日本語で聞いたって簡単ではないかも知れない。
 
 人に聞こうにも人は通らないし、聞いてもフラワーショーで使っている正式なナーセリー名ではなく地元では別称で通っていたり、、、、ようやくたどり着くとどこかのフラワーショーに出店していて臨時休業だったり、4時でタイムアウトだったりと、一株のコリダリスを求めてカザンは行く。
 こうは書いても所詮は文明国、ヒマラヤの奥地に青いケシを求める旅とは次元が違い、野性の勘を持つカザンは執念でたどり着く。 チェルシーフラワーショーで何度もゴールドメダルを取っているアルペンフラワー専門のナーセリーは周囲と同化した小さな木の看板から車のすれ違えない未舗装のキツネと野ウサギの楽園のような道を2マイル(3キロ)も行った奥にあった。

 さて、目指すコリダリスが無くても買いたい苗はいくらでもあるから落胆はしない。こうしてナーセリー巡りをしてコリダリスはベス・チャトーのナーセリーで見つかったのだが、いつしか車のトランク、後部座席、助手席、果ては運転席の足元まで苗のポットでぎっしりだ。土を大量に積んでいるのだから車体の後部が沈み、運転席に座ってもいつもよりボンネットの位置が高いような、、、まさかウイリー状態で前輪が浮いているなんてことは無いのだがハンドルが軽くなった。
 さて、フランスに戻り、一度に大量に入手した苗を数年先の情景を思い浮かべながらどこに植えようか思い迷うのも楽しいひと時。

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 黄色い花のコリダリスは石のわずかな隙間でも育つほどの生命力でフランスでもいくらでも咲いているが白花種はイギリスのカタログにも載っていなかった。
 しかし何といっても魅力的なのは、チャイナブルーという中国から入ってきた品種でその不思議な色はブルーポピーと共にカザンの心を捉えて放さない。半日陰を好む植物を集めたハーフ・シャドー・ガーデンの特等席に植えて、春の木漏れ日の中、ディケントラやヴィオラ・コルヌータとのささやきを楽しんだが、いつの間にかコリダリスの葉が消えている!
 でも心配御無用。この植物は夏に冬眠ならぬ夏眠するのだ。

 ロンドンの近郊にある王立園芸協会のウイズリーガーデンには素晴らしいコリダリスのコレクションがあって、もちろん付属のプラントセンターでは売っていなく、ただただ羨望のため息をつくばかり。

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  半日陰の湿り気のある豊穣な土を好むディケントラ(ケマンソウ)はそのユニークな花の形が面白く、和名をタイツリソウという。確かに鯛が釣れているようにも見えなくはないが欧米ではハートになる。

 イギリスでは直訳すれば「出血している心臓」となるが、bleedには心がひどく痛むとか嘆き悲しむという意味もあるから「嘆きのハート」の方が花の名前らしい。
 フランスではマリーのハートまたはジャネットのハートと呼ばれるがマリーの方が一般的で、イギリスとフランスを合わせて「嘆きのマリー」なんていうノスタルジックな映画のタイトル風はどうだろう?色は赤紫が一般的だが白花族のカザンはもちろんホワイトマリーを植える。

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 ディケントラ・フォルモーサ(ハナケマンソウ)というケマンソウより小さなハートのコマクサに近い感じの品種もあり、こちらの方がカザン好み。花は白と淡いピンクから紫に近い色まで、葉の色も黄色から青みがかったものもあり株分けで増やすが、花がなくても葉が美しいのでエピメディウム(イカリソウ)や半日陰を好む他の植物との混植を楽しむ。高山植物のコマクサの花もタイツリソウとそっくりなハート型だが、馬の顔に見えたようで駒草という名になった。山では鯛は釣れなかったようだ。

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 そもそも心臓=ハートの形というのは西洋の概念であり、心臓、心、感情は一体化している。でも厳密に言えば感情をつかさどるのは脳であるのだが心臓は体の中心部にあるから、心は心臓から発するというほうが実感しやすい。それにしてもハートマークはシンプルで素晴らしいデザインなのでグッドデザイン賞をあげたい。

 ディケントラの中には希少な黄色の花もあり、下の写真のズボンを逆さにした形のククラリア、英語名は「オランダ男のズボン」という品種もあり、ここまでくると正真正銘のマニアックかな?

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 フランスやイギリスの田舎道を走っているときは常に路肩に注意している。フランスでは路肩にはたいがいグリーンベルトがあってヘッジの手前に咲いている花に注目しているのだ。
 マーガレット、ポピー、シレネ(レッド・カンピオン)、ジキタリス、ヤナギランなど、季節によって色々な花が咲いているが欲しいと思うものは少ない。日本でヒメジオンやセイタカアワダチソウをわざわざ庭に植えようと思わないのと同じである。

 日本から初めて来た人は道端に延々と白いレースフラワー咲いているのを見て感動するが、セリ科のカウパセリ(牛のパセリ)、ノラニンジンなどで牛のサラダを庭に植えようなんて誰も考えない。でもカウパセリは「アン女王のレース」とも言うようで、こういう名前になるとあまりないがしろにしてもいけないのかなあなんて思うのだ。

 道端に一群の紫のオダマキが目に入っても車を止めてせいぜい写真を撮るだけだったが、ピンクと白のオダマキを見つけたときは丁寧に掘って庭に植えた。こういうことが時々あるので車にはビニール袋と移植ごてを必ず積んであって、移植のきかないマメ科の植物やケシなどは場所を覚えておいて後日種を取りに来るのだが目印に紐を茎に結びつけておくこともある。

 20年ほど前に葉山で庭を作ってにたころはミヤマオダマキ以外の西洋オダマキは手に入りにくかったが、フランスでは雑草の中に咲いているくらいだから簡単に育ちいくらでも増える。
 なぜオダマキが好きかといえば花の形がユニークな上に葉の形も良いからである。花がきれいでも葉の色や形が良くなかったり、全体のバランスが悪かったりすると興ざめだが、オダマキはすべての条件をクリアしていると思うのはこちらの勝手な基準で、興味を示されなかった植物は「何よ!分かってないんだから!」とすねているかも知れない。

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 オダマキは学名がアキレギアだが英語ではColumbineといい鳩のようなという意味なのだがどこが鳩のようなのか、、、、鳩が5羽向き合って首を伸ばしておしゃべりでもしているということか?「グラニーのボンネット」とも言うようだ。ベルエポック時代の派手な帽子か?
 日本名は苧環と書き、糸繰草とも言うが糸を紡ぐ糸車を小さくしたようなものかと想像している。

 オダマキの特徴はその距にあり、ミヤマオダマキは短いが西洋オダマキはすごく長い種類もあり、妖精が飛び交っているように僕には見える。
 ある年のチェルシー・フラワーショーで距のないオダマキが出品されていてその珍しさに魅了され、どうしたら手に入れることが出来るかと随分と探し回った。
 学名はアキレギア・クレマチフローラ、八重のオダマキは距がないのが普通だが一重のオダマキではとても珍しい。距があってこそのオダマキなのだが、距がないアブノーマルなオダマキを求める僕ってアブノーマルなのかなと思うが少々マニアックなのは確か。

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 フランスとイギリスには世界中の花の種や苗が載っているシードバンク的カタログ(写真なしで学名のみの記載)があったり、どこのナーセリーで扱っているかを探せるプラントファインダーの本があるからイギリス中のナーセリーを隈なく訪ねて根気よく探せば大概のものは見つかる。

 さてようやく手に入れたアキレギア・クレマチフローラもたくさんの花に混ざってしまえば目立たず誰も注目してくれないが、庭は自己満足的世界でありながら、ちょっと自慢もしてみたいようなところが誰にでもあるのではないだろうか?


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 騎士のルドルフは恋人のベルタと共にドナウの河岸を散策していた。ルドルフは土手に小さな青い花を見つけ、花を摘もうと土手を下るが、花を摘んだとたんに足を滑らせて河に落ちてしまう。
 雪解け水のドナウは流れが速く、必死に岸に辿り着こうとするが若者は力尽き、手にした青い花を「僕を忘れないで!」と岸辺に投げ、ドナウの水底に沈んでいった。
 悲しみのベルタは想い出のためにその青い花を勿忘草と名付けてけてルドルフの墓に植えた。

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 学名のミオソチスは英語でForget me not.フランス語でNe m'oubliez pas.となり、私を忘れないでという意味である。
 和名のワスレナグサはニセアカシアの例と同じように英語を和訳したものだが、「ワスレナイデ」とするより「勿忘草」の方が詩的でいいですね。

 ブルーの花が一般的でピンクと白もあって白い花も植えてはみたが白だけではあまり冴えなく、勿忘草はやはり青に限るようだ。半日陰を好む宿根性の勿忘草もあり、葉は丸く大きい。

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 ロンドンに住んでいたとき庭に池を作ったのだがウォーター・フォゲット・ミー・ノットという水生の勿忘草を池の中に植えた。水中に浮いているだけで育ち、水の中から茎を出し小さな青い花をつけるのがなんともかわいいかった。

 フランスでは道端に咲くほど生命力が強く、僕の庭でもこぼれ種で増えて増えて困るほど。増えすぎた苗は捨てなければならないのだが、勿忘草は「私を捨てないで!」と小さくささやいた。

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  リラはフランス語で英名はライラック、アマポーラはスペイン語でフランス語ではコクリコ、和名はヒナゲシまたは虞美人草とも言われるが歌に歌われていて、エリカ、ミモザなども何かエキゾチックで詩的な響きがある。

 さて、アカシアも多く歌に歌われているが、本来のアカシアの花の色は赤紫色で白いのはニセアカシア、そして「この道」や「アカシアの花」の歌に歌われているのは白い花の方だから本当は「ニセアカシアの花が咲いたよ。」とならなければならないが、贋がついたら詩的でなくなる。

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 ニセアカシアの和名はハリエンジュだが、生育がとても早く街路樹や土止めの植物として利用されてきた。100年ほど前にアメリカから札幌に入ってきたニセアカシアは人気者となり、最近では黄色いミモザアカシアの影にも隠れてしまい、中国から入ってきたと思われるアカシアは忘れ去られようとしている。

 フランスではピンクの花のネムノキもアカシア、またはミモザと呼ばれているが、ニセアカシアは英語でFalse Acacia(フォールス・アカシア)フランス語では Faux Acacia(フォー・アカシア)となり、どちらも「間違った」という意味の形容詞がついている。
 どこでどう間違って贋物にされてしまったのかは知らないが、日本に入ってくるときもニセの刻印は取られなかった。そこでニセアカシアは「私ってこんなにきれいで愛され、役に立っているのに何で贋物なの?」と涙ながらに訴える。

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 ブルゴーニュの家のあたりの道沿いには至る所ニセアカシアの並木道が続き、5月には白い花と甘い香りを楽しむことが出来るのだが、白い花できれいだからと思って道端の小さな苗を掘り起こし、自分の庭に植えようと思った。
 さてどこに植えようかと迷っていると隣の牧場のシャマールが生垣の向こうから顔を出し、ひとたびニセアカシアを植えると10メートル先にポッと芽を出し、ものすごい勢いで広がってしまうから植えないで欲しいと言うのだった。
 ニセアカシアの幼木には棘があるから牛が食べない、だから厄介な農作業が増えるだけということになるのでニセアカシアを植えるのはすぐに中止した。そういえばニセアカシアの苗を掘っているとき「何をしているのか」と誰かに聞かれたっけ。彼はすぐにシャマールに電話して僕の間違った作業を阻止したわけで、ド田舎ではいつも監視されているようなところがあるから街に買い物に行くときでも農作業に出るときでも家に鍵をかける人などいない。

 ニセアカシアの蜂蜜は上品な味で癖がなく最高級品である。
それではニセアカシアの花の蜜による純正アカシア蜂蜜を召し上がれ。

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Kazan

Author:Kazan

最新の記事はこちら♪thumy2.gif

宇藤華山(カザン)
東京芸術大学及び同大学院卒業 フランス政府留学生としてパリ高等美術学校で学ぶ。シャンソン歌詞の翻訳をしながらシャンソンを歌う。

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宇藤カザンのホームページ

英国の庭園とコッツウォルズ、フランス花景色、水彩画作品を紹介。

http://utokazan.jp

宇藤カザンのYou-tube

ラ・ボエーム
想いの届く日
夜のタンゴ

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